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アランケイのダイナブックからiPhoneへ

iPhoneの発表で、60年代からの綿々と流れる「理想的な情報端末とは?」という課題を思い出すことになりました。備忘録も兼ね少し記しておきます。

60年代には、まだ現在のようなGUI(Graphical User Interface)を持たないコンピューターが主流でした。私が学生のころはパンチカードでコンピューターに命令(算術計算等)を送り結果はモニターに表示(黒い画面に答えや途上の計算)されるようなものでした。また10Megaのハードディスクは各辺が1m程もあるものだったと記憶しています。

そのような時代にアラン・ケイが提唱した「ダイナブック」というコンセプトで、理想のパーソナルコンピュータ(パソコン)が始めて、定義されました。

ダイナブック:GUIを搭載したA4サイズ程度の片手で持てるような小型のコンピュータで、子供でも扱える低価格なものである。 ダイナブックは、文字のほか映像、音声を持つ本(book)のような存在であり、それを扱った人間の思考能力を高める存在であるとした。

その後現在のAppleがMachintoshによりGUIを持つパーソナルコンピューターを市場に出しました。その後様々なGUIを持つパソコンが出てきました。ですのでこれらの殆どのOS(Operating System:GUIを実現するための基本プログラム)は、MachintoshのOSを真似たものとなっています。(時を経て現在はMacOSX、Windows、Linuxに収斂されてきました。)

しかし当時のパソコンは技術的な要因で、大きさや機能的にも「ダイナブック」というコンセプトを満足するものではありませんでした。

またAppleは「ダイナブック」というコンセプトを前進させより小型で使いやすい、ペン入力のパソコン「Newton」を世に問いました。中には小学生向きの「Newton」も有りましたが、技術的な面で多くの課題を残したまま短命に終わりました。

現在長い技術的な進歩により、画面はフルカラーとなり、サイズはB5サイズ、動画や音声までも扱えるようになってきました。また「ダイナブック」にはインターネットの概念は有りませんでした。現在技術的には「ダイナブック」を越えていると言えるでしょう。

しかし「子供でも扱える。本(book)のような存在であり、それを扱った人間の思考能力を高める存在」というコンセプトは残されたままの課題でした。当然これを解決するにはコンテンツやアプリケーションの問題が浮かび上がります。

私には、MacのOSであるOSXで稼働するiPhoneは、上記の残されている課題のいくつかを解決する通信機能付「パーソナルコンピュータ」だと思えます。原理的にはOSX上で稼働するアプリケーションがiPhoneでも動きます。メモリーや画面サイズの問題があり、現在のアプリケーションがそのまま動くとは思いませんが、家庭や職場に有るMacやWindowsにまたAppleTVを介したTVや将来的には家電にインターネットを介して繋がりあってくるのでしょう。これはAppleにとっては、中途半端になってしまった「Newton」を継ぐものであり、情報技術の様々な展開が期待出来る、新しい端緒を示したものとなるでしょう。